自己PRのエピソードに関する基礎知識
自己PRに最適なエピソードを見つけるには、企業が自己PRのエピソードに注目している理由や、自己PRのエピソードから知ろうとしていることを理解しておく必要があります。
そこでまずは、自己PRのエピソードに関する基礎知識について解説します。最適なエピソードを選ぶうえでは欠かせない知識となるため、ここでしっかりと押さえておきましょう。
企業が自己PRのエピソードに注目している理由
企業が自己PRのエピソードに注目する理由として、入社後の働いているイメージをつかみたいというものが挙げられます。自己PRのエピソードは、その人の価値観や行動原理を知る手掛かりになるためです。
自己PRのエピソードからわかること
• 仲間と協力して物事に取り組んだエピソード → 協調性やチーム志向がある
• 粘り強く物事に取り組んだエピソード → 責任感や継続力がある
上記のように、エピソードによって読み取れる価値観や行動原理は大きく異なります。そのため、学生が自社の一員になった場合、組織に対してどのような貢献をしてくれるのかを把握するために、企業は自己PRのエピソードに注目しているのです。
自己PRのエピソードから企業が知ろうとしていること
企業が自己PRのエピソードに注目している理由は、学生の入社後の働いているイメージをつかみたいからですが、具体的には以下のポイントを知ろうとしています。
自己PRのエピソードから企業が知ろうとしていること
• 人柄(性格)が会社の文化と合いそうか
• 論理的に説明する力があるか
• 自分を客観視できているか
• 企業にその強みをどう活かしてくれるのか
• 思いを言語化する力があるか
上記のポイントを意識すれば、どのようなエピソードが望ましいのかが見えてくるようになります。それぞれのポイントについて見ていきましょう。
①人柄(性格)が会社の文化と合いそうか
多くの企業はスキルよりも、自社とのマッチ度を重視しています。そのため、企業は自己PRのエピソードを通じて、自社の文化と学生の人柄や性格がマッチするかどうかを見ています。
たとえば、静かな空間に居心地の良さを感じていて性格もおっとりしている学生が、行動力やスピード感を重視する企業を志望している場合、いくら志望度が高くても文化的にマッチしない可能性が高いでしょう。
人柄や性格と会社の文化が合わなければ、早期離職につながりやすくなるため、企業は自己PRのエピソードを通じて自社とのマッチ度を判断しようとしているのです。
②論理的に説明する力があるか
社会人になると、相手にしっかりと伝わる話し方が求められます。そのため、企業は自己PRのエピソードを通じて、論理的に説明する力があるかどうかも見ています。
論理的に説明するには、「結論→理由→結論」の順番に話の構成を組んでいくのが基本です。
自己PRの伝え方
• 結論:私の強みは、○○です
• 理由:その理由としては、○○という経験があるからです
• 結論:よって、私は○○の強みがあります
結論の根拠となるエピソードが明確で、なおかつ具体的に説明できていれば、論理的に説明する力があると判断されやすくなります。
③自分を客観視できているか
自分を客観視できているかどうかは、就活のみならず働くうえでも非常に重要です。自分の行動や思考を客観視できないと、視野が狭くなるだけでなく感情のコントロールもしづらくなり、仕事や人間関係を円滑に進めることが難しくなるからです。
そのため、企業は自己PRのエピソードを通じて、自分を客観視できているかどうかという点も見ています。
自分を客観視できているかどうかの判断ポイント
• 自分の強みや弱みを正しく把握しているか?
• 客観的な視点でエピソードを捉えているか?
④企業にその強みをどう活かしてくれるのか
企業は自己PRのエピソードから、その強みを自社でどう活かしてくれるのかという点も知ろうとしています。
どんなに優れた能力を有していたとしても、実務で活かすことができなければ意味がありません。そのため、企業は「どのような場面でどのような強みを発揮したか」という点に着目して、仕事への再現性を判断しようとしているのです。
強みをどう活かしてくれるのかの評価ポイント
• 強みの活かし方や方向性が自社とマッチするか?
• 自社の業務内容や文化を正しく理解しているか?
思いを言語化する力があるか
仕事をするうえでは、思いを言語化する力も非常に重要です。自分の考えを適切な言葉で表現できなければ、意図が正しく伝わらなかったり誤解が生じたりして、円滑なコミュニケーションを図ることが難しくなるからです。
自己PRを書くときのポイント
面接で自己PRを求められたときは、アピールポイントを、その裏付けとなるエピソードとセットにすることで、信ぴょう性が増すものです。より効果的に伝わるエピソードや体験を選ぶためには、以下のポイントが参考になるでしょう。
「すべてのポイントを満たす必要はありませんが、なるべく多くのポイントを含んでいる方が、より効果が増すでしょう」。
●「好きなこと」よりも「義務」や「ルーティンワーク」
趣味や娯楽など「好きなこと」よりも、学業やトラブル対応、ルーティンワークなど、「義務」「好きではないこと」において発揮された能力・特徴の方が、仕事の場面でもその能力・特徴が発揮されることの証拠として、説得力が増すでしょう。
「人間の能力は、『好きなこと』では発揮できても、『好きではないこと』では発揮できないことが往々にしてあるもの。その点、『好きではないこと』でも発揮できた能力・特徴であれば、より広い領域で発揮できることが効果的にアピールできるのです」
●成功談よりも苦労話
「売り上げを1.5倍に伸ばした」「イベントの参加者数が倍増した」といった、わかりやすい成果や実績を伴う成功談よりも、苦労や試行錯誤を重ねた経験の方が、その人の人となりが伝わりやすい傾向があります。
「仮に目覚ましい成果が上がっていたとしても、そもそもさほど難しい課題ではなかった可能性もあり、必ずしもその人が能力を出し切った結果とは言い切れないケースが多々あります。一方で、目標を達成するまでもがき続けたプロセスを伝えることには、たとえそれが最後に失敗で終わったとしても、どんな能力を使って努力する人なのか、その人となりが伝わりやすいのです」
●自己完結した出来事よりも集団・対人での出来事
サークルなど集団の中や、接客アルバイトなど対人の場面で成し遂げたことの方が、自分だけで完結した出来事よりもアピール力が高いのも事実です。
「なぜなら、仕事は基本的にチームプレーだから。そのため、人との関係性において成し遂げたエピソードの方が、入社後のパフォーマンスにつなげて評価されやすい側面があります」
●数字や固有名詞などを使って具体的に
エピソードは、なるべく数字や固有名詞を使って、具体的に伝えるようにしましょう。
「例えばカフェでのアルバイト経験であれば、『都会のカフェで、お客さまの声に耳を傾けて、ニーズに寄り添った提案をしていました』といった漠然とした表現は避けたいもの。地名や、チェーン店などであれば店名など、誰にでも伝わる固有名詞を使う方が、どのくらい忙しい店舗なのかがダイレクトに伝わります。そして、『オフィスに持ち帰るお客さまが多かったので、こぼれにくい梱包の仕方を研究して、スタッフ同士で共有した』などと具体的に表現すれば、圧倒的に情報量が多くなるでしょう。守秘義務などの関係で固有名詞が出せない場合は、一日の利用客数など、忙しさや規模の目安になるような数字を補足することも可能です」(
●エピソードがアピールポイントを的確に表すように
これらのポイントを押さえた上で、最後に確認すべきチェックポイントとして、そのエピソードがアピールポイントを的確に表すものになっているかという点があります。
「『私の強みは忍耐強さです』と言っているのに、それを裏付けるエピソードが実は『継続力』を指しているといったことがよくあります。こうしたラベリングの間違いを防ぐためには、友人や家族などに、まずはエピソードだけを読んでもらって、そのエピソードがどんなアピールポイントを表すのかを一緒に考えてもらうやり方がオススメです」
●アピールポイント別 自己PRの例文を紹介
自己PRをまとめるときは、冒頭で端的にアピールポイントを書いてから、そのアピールポイントを裏付けるエピソードを続けるようにしましょう。エピソードは、「どのような状況でどのような行動を取り、それがどのような成果につながったのか」という流れを意識するとよいでしょう。
●コミュニケーション能力
「コミュニケーション能力」の意味に含まれることの多い「論理的である」「客観的である」「感受性が豊か」「表現力が豊か」「交渉力がある」「社交的である」のうち、いずれかに絞ってアピールするとよいでしょう。
「客観的である」ことをアピールする例
私の強みは、客観的に物事を捉え、コミュニケーションに生かせることです。携帯電話ショップでのアルバイトでは、高齢の方からスマートフォンの使い方を尋ねられることが多いのですが、ある時自分の説明が高齢の方には理解しづらいのではないかと気づきました。そこで、自分の説明を録画して見たところ、早口になってしまっていることや、「タップ」など高齢の方にはなじみのない言葉を使っていることを発見。「画面に指で軽く触れてすぐに離してください」と言い換えるなど、話す速度や言葉の選び方を変えました。この時から、自分のやり方を常に客観的に把握し、改善するように心がけています。
●主体性
「主体性」の意味に含まれることの多い「自律的である」「責任感がある」「活動量が旺盛」「独立心がある」「前向きである」「創造力がある」のうち、いずれかに絞ってアピールするとよいでしょう。
「自律的である」ことをアピールする例
自分を律してタスクをこなし、目標を達成することができます。大学2年生の時には、ゼミの課題やアルバイトと並行して独学で勉強を続け、簿記2級を取得しました。それを可能にしたのは、1日単位、1週間単位、月単位で「やることリスト」を作成し、それにのっとってタスクに取り組み、自己管理していたからです。どうしてもその日のタスクが終えられないときは、翌日に早起きするなどして調整。課題などは早めに取り掛かり余裕を持って提出できるようにするなど、無理なく実行できるような工夫もしています。
●チャレンジ精神(挑戦心)
「チャレンジ精神(挑戦心)」の意味に含まれることの多い「好奇心がある」「達成意欲がある」「向上心がある」「冒険心がある」「変革力がある」「曖昧耐性がある」のうち、いずれかに絞ってアピールするとよいでしょう。
「変革力がある」ことをアピールする例
既存のルールを見直して変革する力があります。アルバイト先の和食レストランでは、今まで個々人がメールやSNSなどバラバラなやり方で申請する形で20人分のシフトを管理していたのですが、どの時間帯に何人がシフトに入っているのかがわかりづらく、たびたび見落としなどのトラブルが起きていました。そこで、自分から申し出てエクセルでテンプレートを作成して共有。シフト申請から確定までをテンプレート上で管理できるようにしたことで、スムーズにシフトの把握や管理ができるようになり、店長にも感謝されました。これまでのやり方にこだわらずに、より良い仕組みに変えていこうとする行動力は、サークルの会計方法の見直しなどでも発揮しています。
●協調性
「協調性」の意味に含まれることの多い「和を重視する」「役割意識がある」「貢献心がある」「統率力がある」「適応力がある」「落ち着いている」のうち、いずれかに絞ってアピールするとよいでしょう。
「統率力がある」ことをアピールする例
私の強みは、人の性格や特性を見極めて力を引き出し、全体をまとめ上げる統率力があることです。大学の学園祭実行委員会の野外ステージ班長を務めた際は、まずはスタッフ一人ひとりの性格や能力を、面談や普段の雑談、チラシなどの制作物から把握することに努めました。そして、個々人の性格や適性、得意分野を生かしてもらえるような配置を行った上で、一人ひとりに合わせて声を掛けたり、すべてのスタッフを必ず一度は全員の前で褒めるように心がけた結果、全体のモチベーションが上がり、チームの一体感も生まれました。
●誠実性
「誠実性」の意味に含まれることの多い「真面目である」「継続力がある」「正直である」「素直である」「几帳面である」「信念が強い」のうち、いずれかに絞ってアピールするとよいでしょう。
「継続力がある」ことをアピールする例
大学に入学してからずっとスーパーのアルバイトを休むことなく続けています。大学3年になってからは実験やインターンシップなどで忙しくなり、夕方のシフトに入るのが難しくなってしまったため、夜間のシフトに入れてもらうようにしました。今ではバイトの中でもベテランになりつつあり、新人バイトの指導や、店内POPの制作なども任されるようになっています。長く通ってくださるお客さまからも、「品物の場所は、あなたに聞くようにしている」など、信頼していただけるようになりました。
コミュニケーション能力を自己PRで伝えるときのポイント
コミュニケーション能力という言葉が多義的なため、エントリーシートや面接で「私にはコミュニケーション能力があります」と伝えても、企業には「具体的にはどういう能力?」という疑問が残ってしまいます。
「コミュニケーション能力がある」とアピールする以上は、あらかじめ自分が伝えたいコミュニケーション能力は「表現力」「感受性」のどちらに当たるのか、それを示すエピソードは何か、を選考前に振り返っておき、答えられるとよいでしょう。
【例文】エントリーシートで「コミュニケーション能力」を自己PRする場合
自己PRをエントリーシートに書く際は、「アピールしたいポイントから書くこと」と「数字や実績などを具体的な事実と共に伝えること」を意識しておきましょう。
「コミュニケーション能力」は、文字数が多いものの、具体的に何を指すのか説明しなくてはいけません。
文字数が限られている場合もあるので、「アピールするのだから、『コミュニケーション能力』という言葉を絶対入れないといけない」と思わず、具体的な力とそれを表すエピソードが盛り込めるように意識してみましょう。
【伝えたいこと:表現力】
家電量販店のアルバイトで、相手の立場を考えて商品の魅力を伝える表現力を身につけました。勤務していた店舗では、毎月、販促強化商品がありました。ビジネスパーソンからファミリーまで幅広い客層が訪れる駅前店だったので、同じ商品でもお客さまによって使うシーンはさまざまなだと考え、接客の際は、“相手の生活を具体的に想像した上で商品の良さ伝える”ことを意識しました。結果、都内25店舗の中で販促物売り上げのトップ成績を取ることができました。
【回答例】面接で「コミュニケーション能力」を自己PRする場合
面接でも、アピールしたいコミュニケーション能力は何かを先に伝え、面接担当者がイメージできるような具体的なエピソードを盛り込むことが大切です。
【伝えたいこと:感受性】
大学でダンス同好会を立ち上げ、メンバー一人ひとりの思いをくみ取る感受性を鍛えられました。初期メンバーが10人集まりましたが、練習に遅刻や欠席が多く、ミーティングを設けても発言するメンバーはひと握りという状況でした。そこで1対1で個別に話す場を設けて、主張するのが苦手なメンバーにも、本人の言葉が出てくるまでじっくり時間をかけて向き合いました。異なる考えにも耳を傾けたことで信頼関係が生まれ、メンバー間でも意見を言い合えるようになり、立ち上げから1年後には初の大会出場という目標を全員で達成することができました。
企業が自己PRを聞く意図は?
最後に、そもそも企業が自己PRを聞く意図についても解説します。
就活の選考において、企業が学生にする質問は、「あなたはどういう人かを知りたい」という意図があります。自己PRは、それを直接的に聞く質問です。また、企業は自己PRを通して、「あなたの能力・性格(何ができるか)」が、「自社で仕事をしていく上で合っているか」という点を見ています。
そのため、自己PRを考える際は、数ある自分の能力や性格のうち、その企業が求めるものは何かを踏まえて検討してみるとよいでしょう。
物事にコツコツ取り組む姿勢を求めている企業に対して、「好奇心旺盛で行動力がある」と伝えては「うちには合わない」と評価されてしまうかもしれません。自分がアピールした能力や性格が、企業が求めている要素と合っているかどうかを見極めることが重要です
企業が評価する「責任感」とは?
「責任感がある」「責任感が強い」という言い回しは誰しも耳にしたことがあるのではないでしょうか。しかし、「責任感」とは具体的にどのようなものでしょうか?また、企業はどんな「責任感」を求めているのでしょう。曽和さんに聞きました。
「責任感」は2種類ある
「あなたは責任感がある人だ」と言うとき、以下のどちらを指しているかで、タイプが異なります。
(1)すべての物事は自分に責任があると考える「自責」の人
(2)原因の帰属は他人(他責)にしながらも自分が解決しようとする「当事者意識」がある人
例えば、何か問題が起きたとき、「これは誰の責任ですか?」と問われたとしましょう。このとき、「問題が起きた原因は自分にある」と原因の帰属を自分だと考える人が(1)のタイプ。
「原因は自分にある」とは考えないものの、「この問題を解決するのは私だ」と、当事者意識を持って解決しようとするのは(2)のタイプです。
自責タイプ、当事者意識タイプにはそれぞれ特徴があり、企業の業務の特性や社風によって、どちらのタイプが評価されるのかが変わってきます。
もし、その企業で評価される「責任感」がどちらなのか理解せずに入社してしまった場合、評価されるポイントのズレに戸惑いやストレスを感じてしまうかもしれません。これは自分にとっても企業にとっても幸せではないので、相手の求める「責任感」がどちらなのか押さえておくようにしましょう。
自分はどちらのタイプか、志望する企業がどちらの「責任感」を求めるか、自己PRで伝える内容を準備する前に考えてみましょう。
自責タイプの人の特徴
何かが起こったときに自分に原因があると考える自責タイプの人は、自分の与えられた領域や持ち場で、高いパフォーマンスを発揮します。インフラや医療など命を扱う仕事、金融などお金や重要なデータを扱うミスの許されない仕事、法規制の厳しい仕事などでは、持ち場を守ってミスを自責で捉える責任感の強さは、業務上欠かせません。
仮に、「ルールがおかしい」「トップの判断がおかしい」という可能性があっても、与えられた環境を制約条件として考える傾向が強いため、変えようという発想にはならず、その中で自分はどうできるかを考えます。
一方で、すべての責任を自分で背負おうとするため、ストレスを抱えてしまったり、環境を変えていこうとする変革能力が低かったりするのでは、と企業から思われてしまう可能性もあります。
当事者意識タイプの人の特徴
物事の原因を他責にしながら、自分事として課題解決に向かう当事者意識タイプの人は、環境の変革能力にたけています。ルールがあっても課題解決のためなら変えればいい、上の指示が課題解決の障壁になるのであれば説得すればいい、と考えます。
変革の激しいIT業界やベンチャー企業、新規事業や商品開発などに携わる職種や、次世代のリーダー候補人材などには、こうした人が求められる傾向にあるでしょう。
半面、与えられた業務や領域を守って仕事を遂行していく仕事の場合には、自責タイプの責任感のある人の方が好まれるでしょう。
「責任感」を自己PRで伝えるときのポイント
「責任感」は2つのタイプに分かれるため、企業の業務内容や活躍している人のタイプによって、アピールするポイントはまったく変わってきます。
自責タイプが活躍できる企業の場合は、指示された業務を確実に遂行できる人を「責任感が強い」と評価します。また、当事者意識がある人材を求める企業では「言われたことにとらわれず、自発的に提案をして変革してくれる」ことが評価されるのです。
自己PRを考えるときは、志望する企業がどちらのタイプを求めるのか見極めて、それに合うエピソードを伝えられるように準備していきましょう。
エントリーシートで自己PR欄に「責任感」を書くときの例
自己PRをエントリーシートに書く際は、「アピールしたいポイントから書くこと」と「数字や実績などを具体的な事実と共に伝えること」を意識しておきましょう。
例 【「自責」の責任感をアピールしたい場合】
自分に任されたことに対して責任を持って取り組むことができます。アルバイト先の個人指導塾で、生徒さんが日時を間違えて無断欠席が続くことがありました。学校のテスト対策で通塾していたので、欠席が続くとテストの準備に影響してしまうため、月初の授業で1カ月のスケジュールを書いたカレンダーを一緒に作成したり、授業の最後に次回の日時を確認するようにしました。また、イレギュラーな日時で授業が入っている際は、前日に電話をかけてリマインドすることに。無断欠席はなくなり、生徒さんもテストで好成績を収めることができ、志望校の推薦枠を得ることができました。
面接で「責任感」をアピールするときの例
面接でも、アピールしたいコミュニケーション能力は何かを先に伝え、面接担当者がイメージできるような具体的なエピソードを盛り込むことが大切です。
例 【「当事者意識」の責任感をアピールしたい場合】
ほかの人が困っていたら、自分事として捉えて解決のために責任感を持って動くことができます。大学1年から所属している地域活性を進めるボランティア団体で、商店街の活性化イベントの企画・運営グループに所属していました。渉外担当の後輩が、地域の方々と意見が合わずにイベントの企画が進まないと悩んでいるのを聞き、ボランティア団体の幹部の人たちに地域の人たちとコミュニケーションを取っていただけないか提案しました。上の人からイベントの趣旨や思いを地域の方々に直接説明してもらえたことで、われわれの思いや熱意が伝わり、無事イベントの企画・開催ができました
企業が評価する「協調性」とは?
「協調性が高い」という表現は、人を評価する際によく使われます。「協調性」とは具体的にどんな力なのか。社会人として求められる協調性とは何なのでしょうか。
「協調性」とは?
協調性とはその文字通り「協力して調和する力」を意味します。いろんな価値観や考えを持つ人たちと折り合いをつけ、時に周囲を説得しながら、一つの目標に向かっていく力を指します。
「協調性」は、経団連(日本経済団体連合会)が毎年発表している「新卒採用に関するアンケート調査」の中で、企業が選考に当たって特に重視する点の項目として、「コミュニケーション能力」「主体性」「チャレンジ精神」などとともに、多くの企業が回答しています。
企業はどんな「協調性」を求めている?
では、企業が求める「協調性」とは具体的にどういうものなのでしょう。
「協調性」を大きく分けると、周りの意見に従い空気を読んで調和していく「従順的な協調性」と、自ら周りに働きかけ巻き込みながらゴールを目指す「主体的な協調性」があります。
「主体性」は本来「協調性」の反対の意味を持っていますが、主体性を「主体的に周りと協力して物事を成し遂げる力」と定義して、協調性とほぼ同じ意味で使われるケースもあります。また、「主体性」が、企業が選考に当たって特に重視する点で上位に挙げられていることからも、「主体的に自ら発信していく」人材を求める傾向があると言えるでしょう。
このように主体的な協調性が求められる背景には、働き方の変化があると考えられます。かつての日本企業は、製造業の工場のラインに代表されるような「チーム全員が一丸となって同じ船をこぐ」一律的な働き方が主流でした。しかし、今では得意領域の異なるメンバーがチームで仕事をしたり、プロジェクトベースで働いたりする仕事の仕方が増えています。
同じチームでも、個性を持った相手とやりとりをしながらゴールを目指すためには、指示を待って動くだけの従順的な協調性では戦力になれません。そうした意味で、「同質的な協調性」ではなく「異質補完型の協調性」を求める企業が多くなっていると言えるでしょう。
自分が志望する企業が、真面目さや誠実さなど「従順的な協調性」を重視するのか、「主体的な協調性」を重視するのかは、会社説明会やOB・OB訪問などの場で仕事内容や仕事を遂行していく上で求められる意識や役割を聞いてみて、どんな協調性を求めているか見極める必要があります。
協調性を自己PRで伝えるときのポイント
自己PRする際には、「協調性」をネガティブに受け取られないように注意しましょう。周りとの調和を重視していることを主軸にアピールポイントとして伝えると、「従属的」「指示待ち族」「自分の軸がない」「意見を出さない」など、チームで仕事を進める上で好ましくない特徴があると判断されてしまうかもしれないからです。
それを避ける手段としては、協調性に加えて「アサーティブネス」なコミュニケーションができることを盛り込んで伝えるのも一つの方法です。アサーティブネスとは、相手を尊重した上で、対等に自分の要望や意見を相手に伝えるコミュニケーションの方法論のこと。相手とけんかしたり非難したりすることなく、適切に主張して合意形成を図るやり方を指します。アサーティブネスはまさに、「主体性と協調性のバランスが良い状態」。自己PRでは、このバランスを意識することが大切です。
また、「協調性がある」「協調性が高い」のどちらで表現するかについては、どちらを使っても問題ありません。ただ、「高い」「低い」などの程度は相手が判断するものなので、「ある」という方がよいかもしれません。
エントリーシートの自己PRに「協調性」を書くときの例
エントリーシートでは相手の読みやすさを考え、最初にアピールしたいポイントを明記しましょう。具体的にどのような行動を取ったのか、事実を伝えることが大切です。
【例】
私には、相手の考えを尊重しながら同じ目標を目指すために行動できる「協調性」があります。所属している国際協力の学生団体は、さまざまな大学に通うメンバーがいます。年に1度、国際協力の課題と提言を学年ごとに発表するイベントがあるのですが、実際に会う機会が限られることから、スケジュール調整や温度感の調整に苦労していました。そこで、メンバー20人それぞれに学業やアルバイトなど団体活動以外の優先順位を聞き、その中でできる業務の分担を提案。オンラインで状況報告など時間の効率化も図り、メンバーが自分のやりたいことをあきらめずに活動を続けられる方法を実践しました。無事、全員が協力する形で発表することができました。
面接の自己PRで「協調性」を伝えるときの例
面接でも、「最初に結論を伝える」「具体的な事実を伝える」点は同じです。集団面接などでは、面接担当者との質問のやりとりがない「プレゼンテーション型の自己PR」も少なくありません。その場合は、エピソードをすべて言い切れるよう、伝えたい内容を整理しておくといいでしょう。
【例】
私の強みは、周りと協力して目標に向かう「協調性」です。
大学では映画製作サークルに所属し、大学横断の映画祭での賞を目指して活動していました。私は撮影担当として、監督を務めるメンバーの意向を尊重しながらも、気になった点をその場で意見することも大切にしました。演者を撮る角度や寄り引きのバランスなど、撮影担当だからこそできる提案がないか、監督や脚本担当などほかのメンバーが気づいていない観点はないかを意識して意見し、全員で試行錯誤しながら作品づくりを進めました。その結果、映画祭で特別賞を受賞することができました。
