就職困難者の支援措置

就職困難者とは?雇用保険の優遇措置と認定手続き

失業し、次の仕事探しに不安を抱えている方にとって、雇用保険制度の理解は非常に重要です。
特に、就職活動が困難な状況にある方は、制度の活用方法を知ることで、より安心して次のステップへと進めることができます。
今回は、就職困難者とはどのような方々を指すのか、そして、雇用保険における優遇措置について、具体的に解説していきます。
制度の複雑さからくる不安を少しでも解消し、皆様の就職活動の一助となれば幸いです。

就職困難者とは具体的にどのような人々か

就職困難者とは、身体的、精神的、または社会的な事情により、通常の求職活動では就職が著しく困難な方々を指します。
雇用保険では、これらの困難を抱える方々に対して、就職活動の支援や経済的な支援を行うための優遇措置が設けられています。
具体的にどのような方が就職困難者に該当するのか、見ていきましょう。

 

🔸身体障害者・知的障害者・精神障害者
身体障害者、知的障害者、精神障害者は、それぞれ身体障害者手帳、療育手帳、精神障害者保健福祉手帳の交付を受けている方が該当します。
手帳の有無に関わらず、医師の診断書によって、統合失調症、躁うつ病(そう病・うつ病を含む)、てんかんといった特定の疾患を持つ方も、就職困難者として認定される場合があります。
これらの手帳や診断書は、就職困難者としての認定を受けるための重要な証拠となります。

 

🔸保護観察中の方
刑法等の規定により保護観察に付されている方も、就職困難者として認められます。
保護観察中は、就職活動に制限があったり、社会からの偏見に直面したりする可能性があり、就職活動が著しく困難になるケースが多いです。

 

🔸社会的事情により就職が著しく阻害されている方
年齢、育児、介護、居住地といった社会的な事情により、就職活動が著しく阻害されている方も、就職困難者として認定される可能性があります。
具体的には、高年齢者、長期間のブランクのある方、地方在住で通勤困難な方などが該当するケースがあります。
ハローワークでは、個々の事情を丁寧に聞き取り、就職困難者としての認定を判断します。

 

🔸年齢による就職困難者の定義
年齢だけで就職困難者と自動的に認定されることはありません。
しかし、年齢が高くなるにつれて、企業からの採用機会が減少する傾向があるため、年齢も就職困難性の判断材料の一つとなります。
特に、45歳以上の方は、常用就職支度手当の受給要件において、就職困難者として扱われる場合があります。

就職困難者に対する雇用保険の優遇措置

就職困難者と認定されると、雇用保険において様々な優遇措置を受けることができます。
これらの優遇措置は、就職活動の負担を軽減し、経済的な不安を解消する上で大きな助けとなります。
算されます。


①所定給付日数
下図のように一般の離職者(定年退職、期間満了、自己都合で離職した方等)と就職困難者(障害をお持ちの方)では、所定給付日数や被保険者期間に大きな差があります。

②求職活動実績
一般の離職者は失業手当を受けるためには、前回の認定日から今回の認定日の前日までに2回以上の仕事探しの実績(求職活動実績)が必要ですが、就職困難者は1回で済みます。
なお、求職活動実績として認められる主なものは次のとおりです。
    •    求人への応募
    •    ハローワーク等(民間事業者、公的機関含む)が行う職業相談、職業紹介、各種講習・セミナーの受講等
    •    再就職に資する各種国家試験、検定等の資格試験の受験等

③常用就職支度手当
失業手当を受給中に安定した職業(1年以上の雇用)に就いた方に支給される就職促進給付のひとつです。同じ就職促進給付には一般によく知られている再就職手当があります。再就職手当は失業手当の残日数が3分の1以上必要ですが、常用就職支度手当は3分の1未満でも支給の対象となります。

就職困難者と認定されるための手続きと必要な書類

🔸ハローワークへの相談
まず、最寄りのハローワークに相談し、就職困難者としての認定に必要な書類や手続きについて説明を受けましょう。
相談窓口では、担当者から個々の状況に合わせたアドバイスを受けられます。

🔸必要な書類の準備(手帳・診断書など)
認定を受けるためには、身体障害者手帳、療育手帳、精神障害者保健福祉手帳などの該当する手帳、または医師の診断書などの書類の提出が必要となります。
これらの書類は、就職困難性の証明として重要な役割を果たします。


🔸認定までの流れと期間
相談から認定されるまでには、一定の期間を要します。
必要な書類を準備し、指示に従って手続きを進めることが重要です。



今回は、就職困難者とはどのような方々を指し、雇用保険における優遇措置としてどのような支援が受けられるのかを解説しました。
身体的、精神的、または社会的な事情により就職活動に困難を抱えている方は、雇用保険制度を活用することで、より安心して就職活動を進めることができるでしょう。
制度の活用によって、生活の安定を図りながら、自分に合った仕事を見つけることができるよう願っています。
焦らず、自身のペースで就職活動を進めていきましょう。
そして、希望に満ちた未来を築いてください。